逆境を生き抜く言葉【渋沢栄一・池田光】
志を持つものに光明が差し、心の中に軸がある人間が栄光を手にする。そんな志や軸を、渋沢が論語やその他経験から得た知見から記している、そんな本。各右ページに渋沢の言葉、左には池田の解説が入る。
よっぽどなことが無い限り、仮にその人を嫌いであっても、「役に立つ人間」であれば必ず要所に起用される。
蚊のたかってくるように、
用のたかってくる人にならなければいかんよ。
役に立つ者は用に追いかけられるが、
役に立たん者は用の方で逃げていく。
変化に愚弄されないため、孔子の九ヶ条を心がける。
1. 見る…ものを見るときは、蔽われることなく明らかにする。
2. 聞く…聞くときは、誤ることなく事物の真相や実態を得ようとする。
3. 顔色…顔つきは、温和にする。
4. 態度…身振りは、恭しく罪深くする。
5. 言葉…ものを言うときは、忠実で言行一致させる。
6. 仕事…仕事をするには、慎重に軽はずみがないようにする。
7. 疑問…わからない点は、師や友に聞いて解決する。
8. 怒り…腹が立っても、我を忘れず、後難を考えて忍耐する。
9. 利益…利益を前にして、それが道義にかなうかどうかを考える。
いつの場合でも孔子の所謂「九思の教」を守るように心掛け、自分の盲動が道理にもとらぬように努めてきたつもりである。
物事を動かすのに、資本が大事なのではない。それをどう活用するか、そしてそれを活用できる人材となるため常に能力と向上心を鍛えなくてはいけない。
資本は万能ではない、もっと大切なのは人である。
資本の価値も、これを活用する人によって定まるのである。
小利や私利にとらわれないために大局に目を注ぐべき。
1. 長期的な時間軸で考えだす
2. 全体的に考え、部分部分を有機的に繋いで新たな発想を始める
3. これまでは見過ごしていたような有益な情報が入ってくる
人間が世に立つには志を一つにしなければならぬのに、
現代青年の多くは目前の小利に囚われて、
これを二つにも三つにもして平然としている。
「争うこと」は「妥協しないこと」とイコールにはならない。
独立独歩とか、艱難の間に道を切り開いて
立身出世をするかとか言うと事も、素をただせば
争いを辞せぬ覚悟のあるところより来るものである。
読むことに価値を置くのでなく、心書を意識する。多読でも精読でも、気に入った本の一句を覚えるほうが無駄な本を多く読むに勝る。
読んで心に残らぬようなことなら、
万葉の書を読破した者でも、
なおよく一冊を記憶する者に及ばぬわけである。
ゆえに読書の要は「心記」にあるに相違ない。
記憶力を向上するには、「曾子(そうし、孔子の弟子)の三省」を実践する。
「その日になしたることや、一に応接したる言説を回想し、人のために忠実を謀らねばならぬ、友人には信義を尽くさねばならぬ、また孔夫子教訓の道に違うところはなかりしやを、省察するに怠らぬ」
1. 他人の相談に乗ったとき、相手のためを考えて十分に誠意を尽くしたか
2. 友人との交際の時に、言葉と行動が違っていなかったか
3. まだ理解が浅いことを他人に教えなかったか
公のための議論は大いにスべし。私事ではない議論には、人は必ず耳を傾ける。伊藤博文を例に挙げ…
1. ロジックと豊富な知識力による議論で、相手をぐうの音も出ないほどに説破する
2. 相手が興奮すると、論鋒を外して、相手を落ち着かせる用潮加減を測る
3. 相手が落ち着くと、再びロジックと知識力による議論で、承諾するまで説得する
成功者はみな、相手への「敬意」を大事にしている
恭…自分のふるまいは、恭謙にして奢らないこと
敬…他人に仕えるときは、尊敬を旨とし、礼を失わないこと
恵…他人を育てるには、恵み深く情けをかけること
義…他人を使うには、公平にして怨みがないようにすること
恭・敬・恵・義の四徳は、
いずれもひとになくてならぬものであるが、
なかんずく恭敬の徳は出世上に欠くべからざるものである。
【レシピ】ローストビーフ
材料
・ 牛ブロック(ロース、ヒレ、モモ 等)
・ 塩 (牛重量の80%(調理時に出る水分を考慮)の0.8%を目安。但しこの後ソースを作る場合は量を抑える。)
・ 胡椒
・ ローズマリー
ワインソースを作るなら
・赤ワイン (200ml)
・コンソメキューブ (1PC)
調理(ローストビーフ)
1. 牛ブロックの各面が平坦になるように削ぐ(均熱)。大きな筋以外は肉きりやフォークで刺す等しない(肉汁がでるだけ)。
2. 牛に塩コショウとローズマリーを振って30分放置。
3. 温めたフライパン(熱し過ぎない)に牛を置く。1面1.5〜2.0分で焼色をつけていく。オーブンレンジを180度に加熱しておく。
4. 全面焼色のついた牛をアルミホイルに包み、予熱したオーブンに入れ、焼き時間に要した時間放置(じっくりと旨味を閉じ込める)。
5. 牛を取り出し、サランラップで強めに包む(肉汁を戻す)。更にホイルで包んで冷蔵庫へ。肉は温かい内に切らないこと。身崩れや肉汁が出てしまう。
6. 一晩寝かせて好みの薄さに切る。食べる。
調理(赤ワインソース)
1. ローストビーフの調理4.から、肉汁の残るフライパンを使う。
2. 赤ワインとコンソメキューブを入れ、弱火でじっくりアルコールを飛ばす。
3. 煮詰め過ぎないように注意しながら、液量が半分程度になったら火を止め冷まし、器に移して冷蔵庫へ。ローストビーフのつけダレとして。
※ ホースラディッシュを添えるとGOOD
選択の科学【シーナ・アイエンガー】
人生を通じて人間は大なり小なり、多かれ少なかれ選択をしている。今後の人生を決めるのは自分の選択であり背景には種々の科学が存在する。
人生を測るものさしは、人によって違う。年月、重要なできごと、業績など。だが人生は、私達の行う選択によって計ることも出来る。さまざまな選択が積もり積もって、わたしたちを今いるところに導き、今ある姿にしているのだ。
個人の文化や習慣により、選択の根拠が異なる可能性がある。選択が個人主義的観点に基づくか、集団主義的考え方を持っているかで考え方が大きく異なる。
集団主義文化では、決定権というものを、もっと包括的に考えるべきだと教えられる。ヒンドゥー教の聖典、バガヴァット・ギーターの恐らく最もよく知られた一節の中で、クリシュナ神がこう言って英雄アルジュナを戒める。「汝が思うままに出来るのは、自分の行動だけで、行動の結果ではない。報酬目当てで行動したり、怠惰に屈したりすることがあってはいけない。」この世界を動かしているのは、目標を追求する個人の行動だけでなく、社会的文脈や運命の定めでもある。
フレーミングの見直しによって、視点や判断根拠が大きく変わる。以下の例が第三者、特に上に立つ人間が意識しなくてはいけないポイントだ。
ロベルト・ゴイエダ(コカ・コーラのCEO)は問題を違う枠組み(清涼飲料水のシェアを40%獲得していたが、飲料水市場全体では2%に過ぎないことを指摘して)で捉え直すことによって、視野を広げ、独創的な考え方をするよう、経営陣にハッパを掛けたのだ。
豊富な品揃えが必ずしも選択の判断基準になるとは限らない。敢えて選択を絞ることで、人は選択をする(させられる)のだ。
- 作者: シーナ・アイエンガー,櫻井 祐子
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なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である【中島聡】
時間の有効活用=モチベーションと集中。午前中の有効活用が必須。
楽しい仕事を継続するには…
他人との能力差を埋めるには時間の有効活用をしなくてはいけない。能力はすぐに埋まらないが、
天から与えられている時間は皆平等である。
時間を制する者が世界を制する。
アメリカ人と日本人の仕事スタイルの差は開始時間の差。朝が早いのがアメリカ人。これは夕食を一緒に食べる習慣を大切にするため。結局は10時間位働いているそう。
最初に頑張るアメリカ人、最後に頑張る日本人
日本人の悪しき習慣「なるはや」を見直す。仕事をする上で、習慣は規則の背景に何があるかという所まで立ち戻って必要性を確認してみる。仕事に期限設定を設けるのは必須だが、「なるはや」の必要性は無い。
仕事に集中力を高めるために、スタートダッシュを意識する。
締め切り直前の仕事は効率が大幅に低下します。なぜなら締め切りを破って上司に怒られるなどの嫌なイメージがノイズになって集中できないからです。トンネリングの典型例です。逆に締め切りがずっと先だと、いいイメージが浮かんで集中することができます。
心構えとして…
すべての仕事はやり直しになります。
仕事の前の準備が大事。アポの30分前に喫茶店に行く等、30分前の行動が有事の際の保険にもなる。
締め切りの前に締め切りがあると考えなければならない
仕事の着手の前に、全体感を見た上で課題を分割する。
ビル・ゲイツが「その問題とこの問題は独立している」とよく言っていた
仕事は必ずやり直しになるということは、地図を持つためチェックを入れてもらう様のプロトタイプを作っておくと後半の大きな修正を避けることが出来る。
アイディアをなるべく早く目に見える形にすると、フィードバックを早く得られるということです。
ラストスパート志向=悪。最後に頑張れば…プレッシャー等で頑張れるわけがない。
仕事の提出を前倒すのではありません。とりかかりの時期をこそ前倒すのです。
ながら運転に事故はつきもの。仕事も同じ。集中力を高めるにはマルチタスクを止める。
マルチタスクこそ、仕事が進まない理由の最もたるものです。
「昼寝」の有効性 = 18分の睡眠を取るよう心がける。
朝一のしごと = 最強である。理由は…
①外部要因の締め切りが設定できる
②メールをチェックする必要が無い
③話しかけてくる人がいない
絶対のルールとして、ラストスパートこそが諸悪の根源。忙しくない時こそハードに仕事をこなす必要がある。
習慣化の大切さと楽さ… 一度習慣化してしまえばそれほど楽なことはない。
人がある習慣を身につけるには、平均で同じ行動を66日続ける必要がある
ほかの人が仕事を終わらせてくれないとき…これはイコールで自分の仕事が終わらない理由にはならない。相手の仕事を待っているときは、自分サイドで何か出来ないか考えそれを進めてしまえばいい。
勉強のための勉強は出来ない。逆に人間は必要に駆られれば何とかなる。
何かの実践のために知識が必要な場合、知識はやりながら覚えていくべきだという事を言いたいのです。つまり、崖を飛び降りながら飛行機を組み立てていくのです。
「無理だ」という人の多くは、実際にそのことについて調査も経験も知識も無い。無理と決めつけて考えてもいない人間はクズ。
転機を待つのではなく、転機の為の準備をしておけばいい。まずはあと半年と決めて、その間に手柄を立てる。その手柄を土産に転職すればいい。
期限を決めれば人間はそれに向けて全力で頑張れる。
世界は感情で動く 【マッテオ・モッテルリーニ】
人間の行動は様々なバイアスによって理論的な判断が出来ない時がある。大切なのは第三者の観点から自分を見返そうと試みることで、これにより非効率的な行動を避けることが出来る可能性がぐっと上がる。
ポイント
コンコルドの誤謬
人間は今まで投資した分を取り返そう=「勿体無い」として不適当な投資を継続する傾向がある。読み始めた本がつまらなくても、せっかくここまで読んだ(買ったのだから)と最後までダラダラ苦痛を伴いながら読むのもこれにあたる。
ビジネスの場でも、損失を出したのに引けないという内面的な理由とは別に、外面的な要因でもこの法則で損失を出す可能性がある。勿論損失を出し続けるのだから、被害は大きくなる一方だ。 例: メンツ、ライバルへの報復、初期判断への非難を恐れる
こうしたエスカレーションの解毒剤は二つある。第一は、平凡なことだが、トラップを早めに完治して、ゲームの外に留まることだ。
一旦始めてしまったら、唯一の逃げ道は、これも平凡だが容易なことではない。いうまでもなく、できるだけ早く降りることだ。過去は過去だと割り切って、損失を取り戻そうなどとは考えない。失敗するのはたしかだが、大きな損はしないで済む。
基準値の誤り
ある定義を逆説にした場合、それが必ずしも正しいとは限らない。地震が起こったら火事になる確率と、火事になったら地震が起こる確率は全くの別問題。
こんなトラップにはまらないための最も効果的な方策は、ただ関係づけるのではなく、きちんと比較をすることである。ある判断を下すことになっとき、必ずしなければならないことは、「何に比べて?」と自問することなのだ。
例えば若者の犯罪が増えたというが、全体の犯罪はどうだろうか。また、若者の人数の上限はどうだろうか。%でいっている場合、若者の母数自体が減っていないだろうか。物事が絶対的なものであると考えず、一つ以上の比較対象を持つようにする。
大数の法則 小数の法則
物事の判断の際、直感や見た目で判断すると時に大きなミスに繋がる可能性がある。N数が少ないながら物事の定義をした場合、大局を見誤る時がある。カレー嫌いな日本人を見て、「日本ではカレー屋は儲からない。」一方で人間の脳は無駄な労力の排除をするため、たまたま起こった事象に意味を求める。「スロットで赤が三回連続でその後黒が出た。また赤が三回連続したから次は黒」出目は飽くまで毎回1/2の確率である。
結論は急がないほうがいい。はじめの直感で答えを出さないこと。数学でも日常生活の場でも、小数については真実であることが、数が大きくなるに連れて多くの場合事実ではなくなるのだ。
代表性のマジック
ステレオタイプ。何か特徴的且つ典型的なキーワードがある場合、それがアンカーになってしまう。インド人=計算が得意、ユダヤ人=金に汚い等、これは良い面悪い面どちらにも適応される。
気をつけなくてはいけないことは、典型的な特徴があるからといって、その人物があるカテゴリーに属していると考えていしまうことである。「いつもニコニコしている人」が「いい人」とは限らない。
偶然に秩序をみる
偶発的な事象を構造的だと認識してしまう。これは脳の自衛であり、日々起こる出来事を処理するためそれらが規則性を持っているように関連付け簡易化して対応しようとする。深く考えることを放棄する結果となり、「謎めいたもの」と事象を認識する等深掘りする努力をしなくなってしまう可能性がある。「構造」や「秩序」は実際の所、自分たちの頭の中にしかない。
確実性効果
リスクを考えるときそれが0%起きうるものか、100%起きうるものか確率を検討する。この双方に近づけば近づくほど人間は判断を急ぐ傾向がある。がそもそもこのリスク検証が正しいのか、つまりは「直感」や「思い込み」による判断をしてしまい逆にリスクを高める可能性がる。
多くの場合、最も賢明なやり方は、リスクをたとえば6%から始めてゼロにするのではなく、部分的な減少(たとえば33%から20%へ)を計ることだ。それなのに認知システムが麻痺を起こし、「確実性効果」をねらって「すべてにノーを」と譲らず、ゼロになる道を選ぼうとする。
アンカリング効果
販売のテクニックで、ある商品を買わせようとする際にそれよりも高い商品を見せ、またそれよりも安い商品を見せた後で目的の商品を見せる方法がある。高い価格がアンカーとなりお買い得に見せ、安い商品がアンカーとなり客が品質を考慮して真ん中の商品を選ぶという誘導を行う。Amazonのタイムセール(タイムセールや期間限定という情報をアンカーにし今買わないと損をするというアンカーを仕掛ける)しかり、閉店セールしかり、市場にはアンカーが溢れている。
一方で、アンカーになる数値はうまくカムフラージュされたり、目につかなかったりする。しかしトラップはいたるところで待ち伏せをしているから、その裏を書いてやりたいと思ったら、「目には目を」のやり方がお勧めである。数値や価格に納得がいかなかったら、同じほど極端で逆方向のアンカーを、自分の頭で考えだすのだ。たとえば目の玉が飛び出しそうに高価な家が売りに出ていたら、買うかどうか考える前に、その家の価格がおどろくほど安い場合のことを想定してみるわけである。
注意の焦点化効果
事象判断における人間の判断は時に一元的である。給料の高い仕事が必ずしも人生を幸福にするわけではない。給料=仕事への見返りであり、高い給料はそれなりの仕事を要求されるわけだ。時間か肉体労働か、またはその人にしか無いスキルを。こういった要点は常に考えておく必要があり、おいしい話には裏があるとして今注意を向けている問題以外にも検証のポイントを広げるベキだ。
長い目で見れば、私たちは自分が考える以上に、新たに生まれた状況に慣れてしまい、注意力も日常レベルに戻ってしまう。日常には突出したことはないのだが、それは、単なる「思い描いた」幸福ではなくて、実際に肌で感じる幸福の度合いを決めるものなのだ。
集団思考
組織での高等な意思決定の場合、反対意見を言える人間「悪魔の弁護人」を用意する必要があるかもしれない。意思決定の判断にあたり、参加者は横または上下の関係を危惧して反対意見を出せない可能性がある。仮にその判断が間違いとわかっていても。組織の利益を優先できない(=孤立や中傷を回避する等個人の利益を優先する)人間の集まりでは、遅かれ早かれその組織は衰退するであろう。
強いリーダーが始動性を発揮し周りが「イエスマン」とある場合や、連帯意識や擬集性(結束度合い)の強い集団が、外部の集団や勢力に固定観念を保つ場合などに起きる。1)自分たちの集団に対する過大評価 2)閉ざされた意識 3)均一性への圧力 といった「集団思考」の三類型により以下の欠陥をはらむという。①代替案を吟味しない ②目標を精査しない ③採用しようとする選択肢の危険性を検討しない ④一旦否定された代替案を再検討しない ⑤情報をよく探さない ⑥非常事態に対応する計画を策定できない など。
他の集団への偏見
擬集性が強ければ強いほど、他集団への偏見が強くなる。ナチスとユダヤ人、米国における警察官が黒人へ向ける拳銃の引き金を引くスピード 等
自信過剰
自己の能力を過大に評価してしまうことで、追加情報が出てきてもそれは自分の判断を補完するためのものという都合のいい解釈をしてしまう。予測の範囲を広げられないため、たまたま買った株の値上がりが自分の能力による為という錯覚や、元から自分で決めた予算内で値切って買った商品への満足等。予測を持つ際や判断をする際、それが客観的に見てどうなのか、一歩下がって見直してみること。
自分の知識への自己評価は、すべての学習の基本になる。もし何かの知識が欠けていることがわかれば、注意力とエネルギーを注いでそれを補うことが出来る。既に習得したこととまだ習得していないことを識別する能力は、教えて身につけさせなければならない。なぜならこれは、いかなる個々の知識にも勝る、どんなことの習得にも応用できる能力なのだ。
明るい記憶 保有効果
人間は時間が立つにつれ過去の判断や物事を自分の尊厳を高める認識をもつ。例えば保有している株式を売れない(将来さらに値上がりがあるだろう)、昔の恋人にもらったプレゼントを捨てられない等。一般的に、人間は損失を利益より嫌う傾向があり手放す代償を保有する代償より大きく見がちである。
現状維持
保有効果の基盤と同じで、何かを変える代償を大きく見てしまう。薬の薬効と副作用を見比べたとき、薬効を軽視し(リターン小)副作用を重要視(リスク大)してしまう。仮にその副作用が小さいとしても。アフリカでエイズの蔓延を抑制できないのは、現状維持が最も良いという判断に基づくと分析できる。転職や引っ越しといった生活の転換でもこの傾向は広範囲に見られる。
先入観のトラップ
自分の帰属する(と思っている)組織の判断と、他組織の判断を同じレベルで検証出来ない時がある。判断内容がどうであれ、自分の組織の意見を正とし、他者を悪いものと決めつけてしまう、つまりは感情に支配され合理的な判断力ができなくなる。
これではちょっと救いがたい感じがするが、ここでもまた簡単で効き目のある対抗策は、懐疑心をはたらかせて感情を薄めてしまうことだ。自分の視点とはかなり違った視点を取り入れてみよう。自分の考えとは相容れない情報に真摯に耳を傾けよう。自分の考え方の弱点を正直に認め、自分の信念と対立する考え方の長所をしっかり見つめよう。ポケット版の「悪魔の弁護人」を自分の頭のなかに用意する。
損失回避性
損失 > 利益 の傾向で判断を下してしまう。株の売買で損切りが出来ないのはまさにこれ。日経平均の値上がりよりも値下げが大々的に取り上げられるのを見ても、これは個人的な判断だけではなく社会的に見受けられる現象である。
- 作者: マッテオ・モッテルリーニ,泉典子
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新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング 【唐木元】
文章記載にあたり準備と法則を守る
文章のレベルアップは「事実」「ロジック」「言葉づかい」の順に積み上げていく
文章作成にあたり、主眼をセットする。
「主眼は別の言葉でいえばコンセプト、切り口だったよね。あなたなりの切り口を考えて下さい」
文章作成の前に、構造シートを作成する。構造シートのフォーマットは以下。
構造シートフォーマット
1. 線を引いてテーマ欄を作る
2. 箇条書きで話題を列挙する
3. 話題を眺めて主眼を見定める
4. 主眼をテーマ欄に書き込む
5. 話題の順番を考えて番号を振る
構造シートは手書きで書く
基本の構成は「サビ頭」
骨子は「要素・順番・軽重」、もしくは「何を、どれから、どれくらい」。一番思考に時間がかかるのが「順番」
○サビ頭の構成例
結論 - 問題提起 - 状況説明 - 付帯情報
いずれにしても目標は「完読」。
主語と述語を意識しながら構造に還元して読む
文章を読み返すときは、一文一文を構造に還元して読むことを心がけて下さい。「構造に還元して読む」とは、並みいる修飾節をかき分けて、文章の核になる主語と述語、目的語をはっきりつかみ捕りながら読むということです。
自分の書いている文の主語はどれか。常に意識しながら読み進むように心がけて下さい。
ひとつの文で欲張らない
言いたいことは何か、意識しながら書くこと。
一文で朗々と語り継いでいくスタイルは美文調ともいわれ、雄弁なイメージを持たれがち。しかし読み手にとっては文意を追う負荷が増える一方であり、実用的な文章には不向きといえます。
基本のスタイルは一文一義の原則。情報を小分けに運ぶと、混乱も負荷も減らすことができます。
一文ごとの文章の意味を確認し、つながりが強い文は敢えて同じ文にする必要もある。
伝聞表現は腰を弱くする
どこまでが事実でどこまでが自分の意見かの線引を意識して取材分を書く必要がある。仮に憶測が入っても、「聞いたことは事実」であるため、断定調で書く。
誠実さとキャッチーさを天秤にかけて、言い切る勇気を持ちましょう。
他人から聞いたことを自分の言葉で語るのはそもそも厚かましい行為だと理解した上で、それでも断定する心意気を持ちましょう。
係り受けの距離を近づける
主語と述語、修飾語と被修飾語は、基本的に近づけて書くようにしましょう。
正しく誤読の少ない文にするには、係り受けの距離を縮めるのが基本です。
文章は、どうすれば完読してもらうかを意識しながらの記載をする。
体言止めは読者に負担を与える
体言止めは便利だが、読み手が述語の構造を理解しなくてはいけない。意味を隠さない。
体言止めは、便利だけど読み味を落とす、諸刃の剣と覚えて下さい。
わからないことは一言でも書いてはいけない
どんなジャンルの文章であれ、自分が理解していない言葉を一言足りともかいてはいけません。
「こういうことだろう」でなんとなく書かず、必ず検索して概要は理解しておくこと、それば絶対の条件です。
もやもやに対する感受性を落とさないこと!
文頭一語目に続く毒展は頭の悪そうな印象を与える。
△ さらに、その公演では…
○ さらにその公演では、…
約物の使い過ぎは下品さのもと
「☓☓」「○○」等は使い過ぎない
主観の押し付けは読者を白けさせる
感激した、感動した、好き、嫌い 等の多用 = 主題がブレる。基本は「事実」
インタビューの基本は「同意」と「深掘り」
飽くまで気持ちよく話してもらうことを意識する。
私の考える理想のインタビューは、インタビューアーが「すごいですね」と「それってどういうことですか?」の2つしか言わない状態です。
インタビューはこちらの意見をぶつける場でも、言って欲しいことを言わせる場でも、相手が隠していることを暴く場でもありません。
予想外の答えにこそ「おいしい」内容が現れる。
インタビュー相手の話を聞いている最中、自分の中に違和感や疑問が宿る瞬間を見逃さないで下さい。それこそが深掘りの目印です。
新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング (できるビジネスシリーズ)
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